WEB広告運用を始めて5年が経過しました。代理店時代には営業もやっていましたし、個人になってからももちろん営業ポジションを自分でやっています。その中で、最初の打ち合わせで必ず聞くことがあります。
「なぜWEB広告をやりたいんですか?」
多くの人が「売上を上げるため」や「もっと知ってもらうため」という答えを返します。確かにそれは間違いではありません。ですが、実際の現場では、
- なぜこの広告をやるのか?
- この広告の目的は何なのか?
- どんな成果をもって成功とするのか?
これらが曖昧なまま広告を始めてしまうケースが少なくありません。その結果、目的と手段がごちゃ混ぜになり、効果測定も改善もできず、「広告はお金の無駄だった…」という結論に至ってしまいます。
この記事では、「なぜWEB広告をやるのか」という根本的な問いに立ち返り、広告を始める前に必ず押さえておきたい目的設定の考え方を整理します。
広告は“手段”であって“目的”ではない
新規事業立ち上げや売上を伸ばそうとするタイミングでは、多くの人が「とりあえず広告を出してみよう」と考えます。しかし、この考え方はとても危険です。広告はあくまでビジネス目標を達成するための”手段“であり、広告そのものが”目的“になってはいけません。
目的を定めずに広告を始めると、「なんとなく出稿 → なんとなく終わり」という状態になり、お金だけが減っていきます。広告で成果を出すためには、まず「なぜWEB広告をやるのか」を明確にすることが出発点です。
なぜWEB広告をやるのか
広告をやる理由は、企業や状況によって異なりますが、大きく分けると以下の4つに集約されます。
① 認知を獲得するため
まだ知られていない商品やサービスを、多くの人に知ってもらうこと。新ブランドや新店舗のオープン時には特に重要です。広くリーチのできるSNS広告やディスプレイ広告などが代表的です。
② 見込み客にアプローチするため
SEOや口コミだけでは届かない層にリーチできます。たとえば、特定の条件に当てはまる人だけに広告を表示することで、効率的なアプローチが可能です。キーワード登録ができるリスティング広告が代表的です。
③ 成長スピードを加速させるため
自然検索やSNSだけでは時間がかかる場合、広告を使えば短期間で成果を作れます。スタートアップや新規事業においては、このスピード感が大きな武器になります。このように認知〜獲得まで一気通貫でやる場合もあります。
④ 数値で効果検証できるため
広告はクリック数・コンバージョン数などのデータが取れるため、投資対効果を検証できます。他のマーケティング施策に比べて、改善のPDCAを回しやすいのも特徴です。よくある比較としてはチラシなどのオフライン広告です。オフラインではこのようなデータの取得ができないので、同じ金額をかけてもその後に活かすことができるのがWEB広告のメリットです。
WEB広告をやる目的
前述の通り、WEB広告の「目的」は、単に“売上を増やす”だけではありません。大きく3つの方向性に分類できます。
- 認知拡大:例)新商品の存在を知ってもらう、ブランドイメージを浸透させる
- リード獲得:例)資料請求、会員登録、問い合わせなど見込み客の情報を得る
- 売上増加:例)ECサイトでの購入、店舗への来店予約
この目的が違えば、選ぶ媒体・クリエイティブ・評価指標(KPI)も変わります。たとえば、認知拡大ならリーチやインプレッション数、売上増加ならCPAやROASが重要になります。
よくある失敗例
WEB広告をやる理由や目的が不明確なまま進めると、以下のような失敗が起こりやすいです。
- ゴールを決めずに広告を出し、改善ポイントが分からない
- 認知目的なのに「すぐ売上が伸びない」と判断して中止
- 目的とKPIがずれていて、評価基準が混乱する
こうした失敗は、「広告=魔法の集客装置」という誤解から生まれます。
広告とは「広く告げる」と書くように、自分の力では届けることができない人に、自分たちの商品やサービスを届けることができるだけです。なので広告をやったからといってすぐに売上が伸びるわけではありません。
商品やサービスを否定することはありませんが、”売り方”はしっかりと考えるべきです。なのでLP(ランディングページ)の改修は広告同様にお金をかけてやるべきです。ここをやらずに「広告はお金の無駄だった…」と終わってしまう方が多すぎます。
WEB広告を始める前にやるべき準備
WEB広告を出す前に、次の4つは最低限準備しましょう。
- ビジネスの最終目標を決める
- 売上1000万円、会員数1万人など
- 広告で達成したい中間目標(KPI)を設定する
- CPA1万円、ROAS500%など
- 予算と期間の目安を決める
- 予算はKPIからの逆算(詳しくはこちらの記事参照)
- 短期集中なのか、長期的なのか
- 計測環境を整える
- コンバージョンタグの設置が可能か(ノーコードツールなどでは設置できないことがあります)
- Googleアナリティクスなどの解析ツール
準備段階でここが固まっていれば、広告は“勘頼み”ではなく“戦略的な投資”になります。
まとめ
広告は費用ではなく、成果を生むための投資です。
その投資のリターンを最大化するためには、「なぜ広告をやるのか」「何を目的にするのか」を最初に明確化することが必須です。
目的を共有した上で広告を始めれば、媒体選びも改善施策も一貫性を持って進められます。
逆に、目的が曖昧な広告は、お金を減らすだけの危険なギャンブルになってしまいます。
広告を始める前に、ぜひ一度、「この広告で何を達成したいのか?」を紙に書き出してみてください。
それが、成功する広告の第一歩です。