前回投稿した「YouTube Brandcastに行ってきた(その1)」の続編となります。
まだ読んでいない方はコチラもぜひお読みください。
YouTube Brandcastに行ってきた(その1)
https://adopegram.com/youtube-brandcast%e3%81%ab%e8%a1%8c%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%8d%e3%81%9f%ef%bc%88%e3%81%9d%e3%81%ae1%ef%bc%89/
Brandcast
コンテンツパートナー:佐々木紀彦(PIVOT)
PIVOT 代表取締役 佐々木紀彦さんも登壇されました。
自身のキャリアにおいて、3回のトランスフォーメーションがあったといい、1回目が『デジタル化』、2回目が『モバイル化』、そして3つ目が『動画化』。
「情報は動画で得る時代になった」と話しており、たしかにYouTubeでもTV局のチャンネルがあったり、Abemaでもニュース番組があったりと、新聞や雑誌などで見ることは減ってきていると思います。
今後もっと『動画化』は進んでいくのではないでしょうか。
Google Keynote 2:広告効果で、選ぼう。 – 収益性を高めてビジネスの成長を牽引するマーケティング ROI の検証 –
ここではグーグルの奥山真司代表が、マーケティングROIの検証方法を紹介していました。
まずはじめに、日本の生活者のメディア環境について。
2023 年の調査では、メディアの総接触時間における、スマホおよび携帯電話のシェアが初めて 3 分の 1 を超えたそうです。2022 年の同調査では、スマホと携帯電話が初めてテレビを上回りましたが、その差もさらに広がっています。
このように依然としてモバイルシフトが進む一方で、単にテレビ離れが進んでいるかというと、そうではないそうです。
全テレビデバイスにおけるコネクテッドテレビの割合は34%となり、その視聴時間の40%が『放送』ではなく、YouTubeを含む『VOD』が占めていて、さらにスマートテレビに限って見てみると、YouTubeは民放地上波4局の平均よりも72%も長く視聴されていることが明らかになったそうです。
つまり、スマホ・携帯電話の接触時間は増えているものの、テレビ離れが進んでいるわけではなく、テレビでVODを見ている人が多くなっているのです。
「このようにデバイスをまたいだデジタルシフトが進む中で、マーケターの皆さんはブランドの課題や目標を設定すること、もしかしたらそのものに課題を持たれているのではないか」と奥山さんはお話ししていました。
ここからいくつかの企業様の事例紹介になりました。
日清食品
若年層への広告接触1回当たりの価値を可視化。
調査の結果、広告の有効接触回数分析で、ターゲットリーチはYouTube広告がテレビCMを上回り、27%の純増リーチを獲得したことが分かった。課題としていた1接触当たりのコスト効率は、YouTube広告がテレビCMの6分の1程度だったという。
東宝
新作映画のプロモーションにおいて若年層に対して多くのユニークリーチを獲得しながらもCPMを安く抑える方法を模索していた。広告配信にYouTubeショートも含まれる「動画リーチキャンペーン」を活用した結果、ユニークリーチは15%増加しながらも、リーチ単価は17%削減できたという。課題としていたCPMは42%削減と効率よく目標を達成できた。
これらの企業様に関しては、YouTubeを利用することで数値を可視化し、マーケティングの課題を解決していました。
YouTubeはTVCMよりも低価格で配信をすることができますし、管理画面上で様々なデータを確認することができるので、課題解決に向けてPDCAを回しやすいのではないかと考えています。
実際に私のクライアント様でも最近YouTubeでの広告配信を開始し、課題であった上位ファネルの獲得が、少しずつできるようになってきています。
これからもっとYouTubeに関しては利用する企業様が増えていくのではないでしょうか。
ライオン株式会社・株式会社博報堂・グーグル合同会社「クリニカPROの事例から学ぶライオンの挑戦と Google との協業」
ライオンの今村さんは、「これまでテレビCMを中心に高い認知率を獲得してきたため、YouTubeなどのデジタル広告はリーチの補完として一定量を投下するという位置付けだった。しかし、今のお客さまのメディア接点を考えるとテレビ一辺倒が最適解ではないと考えた」と話していました。
実際に、2022年にローンチした「クリニカPRO」で、YouTube広告の本格活用を始めたそうです。新商品の浸透を一気に高めていきたいと考えたときに、既存の手堅いメディア戦略ではなく、YouTube広告を活用。幅広い世代へ商品認知・特長理解を促し、態度変容までもたらす力があるのか試したといいます。
結果、テレビ CM と YouTube 広告に重複接触したグループでは、非接触者と比べて商品の特長理解が 5 ポイント高かったとのこと。これはテレビ CM のみに接触したグループよりも高い数値だそうです。
また YouTube 広告で態度変容を促すために必要な有効フリークエンシーは 3 回という結果で、今回のケースに限れば、態度変容に必要なコストもテレビ CM の 3 分の 1 に抑えられたそうです。
また、YouTube 広告が態度変容や売り上げに与える影響を可視化できたことで「オーラルケアブランド全般において、これまでキャンペーンごとに最適化していたデジタルを、より汎用的な指針をもって活用できるようになった」そうです。
サントリーホールディングス株式会社・株式会社電通・グーグル合同会社「横断型キャンペーンにおけるマーケティング ROI の検証と今後の展望」
サントリーHDの鈴木氏は、「生活者のメディア接触状況はますます多様化し、マルチデバイス、マルチコンテンツが一般化している。コミュニケーションもお客さまに合わせた形で、接点ごとにコンテンツをカスタマイズしていかないといけない時代になっている。われわれの施策も従来のテレビCMを中心としたコミュニケーションから、より複層的に変化している。さまざまなアセットを複数のメディアにまたがって同時に発信している。しかし、複層的になることに伴い、施策ごとに効果を分けて検証することが難しく、どれが本当に有効だったかを見極めづらくなった」と話していました。
今回メディアごとの効果を可視化するために同社が活用したのが、Google の「Ads Data Hub(ADH)」というものです。これはユーザーの個人情報を特定せずプライバシーに配慮した環境で、企業が保有するデータを紐付けることで、統計化したデータやインサイトを抽出できます。
「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」「サントリー生ビール」「金麦」の 4 つの商品を対象に分析したところ、広告認知とブランド認知はそれぞれ最大 13.9 ポイントと 9.4 ポイントのリフト。また好意度では最大 8.8 ポイント、購入意向においては最大 10.3 ポイントのリフトが確認できたそうです。
このようにすでに一定の認知やシェアを獲得しているブランドであっても、重複接触によって高いリフトを実現できます。その理由は、テレビ CM と YouTube 広告それぞれの強みを活かせたことにあるのではないでしょうか。テレビ CM は幅広い層にリーチできることが強みですが、テレビ CM への接触が少ない層も一定数存在します。 YouTube 広告は、そういった層へもリーチできることが強みです。
YouTube Works Awards Japan 2024 発表
最後には、YouTube で高い広告効果を獲得した動画広告を表彰するYouTube Works Awardsが開催されました。
8 つの部門賞の中で、最もインパクトが大きく、イノベーティブかつクリエイティビティに富んだ表現で YouTube 広告を最大限に活用し、ビジネスへの効果へと繋げることに成功したキャンペーンを表彰するGrand Prixには「MEIDEN」様の「電気よ、動詞になれ。」が選ばれました。
以下のサイトから他の動画も閲覧できるので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。
この動画によって、サイト訪問数は月間20倍以上に増加したそうです。
まとめ
以上、YouTube Brandcastの全容となります。
個人的に注目していたYouTubeショートはもちろん、YouTubeを用いてマーケティングの課題を解決した企業様の事例を複数見聞きすることができ、非常に貴重な場となりました。
WEB広告をやっていると「動画はお金を持っている大企業がやるもの」という雰囲気をクライアント様から何となく感じることがありますが、私は動画広告であればYouTube広告を配信することをおすすめしています。
理由としては、TverやTVCMなどの他の動画広告と違って、YouTube広告はGoogleの管理画面上で分析ができるので、細かいPDCAを回すことができ、成果改善が見込めます。
あとはショート動画のような縦型動画を制作することができるのであれば、InstagramリールやTikTokなども配信することもできるので、媒体を横展開して配信していくことも検討しましょう。
使っているユーザーはもちろん、使っている時のユーザーの態度も違うため、複数媒体で実施することは必要だと考えています。
もちろん、広告費用はかかるので、顕在層をある程度刈り取りした後の施策になるでしょう。
しかし今後、さらに出稿する企業は増加していく一方なので、CPMやCPCの上昇は抑えられないでしょう。できる限り早めに開始して先手を打つことが、企業のマーケティング課題の解決につながるのでは、と考えています。